
裁判例の相場どおりにせずに、認容額を増額させたり[原告事案]、割合を下げて支払額を減額する[被告事案]:名誉毀損の事例、商品取引の事例、官製談合の事例
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・商品取引業者の外務員らの商品先物取引の勧誘に適合性原則の違反があったとして商品取引業者の不法行為責任を認めたが、5割の過失相殺を認めた事例
商品取引業者の外務員らの商品先物取引の勧誘に適合性原則の違反があったとして商品取引業者の不法行為責任を認めたが、5割の過失相殺を認めた事例
札幌地方裁判所平成20年2月26日判決
[解説]商品先物取引業者を代理
商品先物取引の勧誘の適否が問題となったごくありふれた事案のように見える事案です。
しかし、顧客は、実際に保有する金融資産が900万円程度であるのに、自らわざわざ投資可能金額を2000万円と過大な設定を申告したため、実際保有する資産に比して取引規模が拡大したことにより、損害の拡大を招いたものであること、顧客の年齢及び経歴、商品取引業者の外務員の説明内容及び方法からみて、顧客は、少なくとも商品先物取引の仕組みや危険性は理解していたはずなのに、投機に対する安易な興味から、外務員の取引の勧誘に応じて先物取引を始め、拡大して損害を招いていることなどの落ち度があったことを認めるなどして、裁判所は、5割に及ぶ過失相殺をする判断をしました。
・札幌市議がパチンコ店の出店工作をした旨の新聞記事について、名誉毀損による損害賠償として200万円を認容した事例
札幌地方裁判所平成11年3月1日判決
「判例タイムズ」1047号215頁
・北海道の住民である原告らが,北海道A支庁における農業土木工事において談合が行われていたとして,同工事の受注をした2会社と同工事の請負契約締結当時の北海道知事,北海道A支庁長及び北海道農政部長に対し,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前のもの)242条の2第1項4号に基づき,北海道(参加人)に代位して,損害の賠償を求めた事案
札幌地方裁判所平成19年1月19日判決
「裁判所ウェブサイト」裁判例情報
札幌地方裁判所平成20年2月26日判決
「金融・商事判例」1295号66頁
いずれも顧問先の事案ですが、前者は、建設業者を代理した官製談合の事案について、談合による損害額については、請負契約金額の10%が基準といわれる中、裁判所が総合的に考慮して5%が相当と判断した事例であり、後者は、商品取引の事案について、商品先物取引業者を代理し、裁判所が5割に及ぶ過失相殺をする判断をした事例です。それぞれ、裁判官らの説得に相応の労力をかけましたが、その内容は複雑ですので、裁判結果だけをご紹介いたしました。
6 前田尚一法律事務所の取組
私は、依頼者にとっての「勝利」とは何かにこだわっています。
また、紛争解決のモデルは「訴訟」であり、実際に「訴訟」を行うスキルとマインドが、弁護士に必要な基本的な能力だと考えています。
これまで、さまざまな訴訟に取り組みながら、中小企業の「企業法務」全般に注力し、常に30社以上の企業を顧問弁護士として直接担当し、30年以上の弁護士としての経験と実績を積んできました。
この経験と実績を活かし、依頼先企業の実態や事情に加えて、企業独自の志向や経営者のキャラクターやパーソナリティも考慮し、紛争の予防と解決に取り組んでいます。
ご興味があれば、お気軽にご相談ください。
[ご参考]
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- 1 企業間紛争について民事訴訟の活用場面:特に中小企業の場合を念頭に
- 2 企業間紛争を民事訴訟で解決するメリットとデメリット
- 3 民事訴訟で「勝つ」ために
- 4 当事務所の取扱事例からエピソードをいくつか
- (1)事案の特殊性を明らかにし、裁判実務上の取扱いの例外として扱われるべき事例であることを説得すること:オーナー社長の死亡に対する対処の事例
- (2)躊躇する裁判官の背中を押す:土地区画整理事業の事例
- (3)裁判官の判断は、その個人的な視野・価値観の外にはでない(勝訴判決が判例雑誌に掲載される前に、逆転判決が出て狼狽えたこと):ゴルフ会員契約の解除の事例
- (4)裁判官が判決の理由を書きやすい主張を構成する:会社の支配権の確保の事例
- (5)事件ごとにそのたび、そのたび繰り返さなければならない:オーナー社長の死亡に対する対処、再び
- (6)裁判例の相場どおりにせずに、認容額を増額させたり[原告事案]、割合を下げて支払額を減額する[被告事案]:名誉毀損の事例、商品取引の事例、官製談合の事例
- 5 弁護士の選び方
- 6 前田尚一法律事務所の取組








