多くの多種多様な取扱案件のうち、定型的・事務的処理にとどまらず深掘りし、依頼者との協働作業によって解決した実績・実例に限ってご紹介いたします。
なお、事例は個人情報・プライバシーの関係で、判例集、判例誌に登載され、又はTV、新聞等マスコミで報道されるなど、一般に公表された事例に限ります。
Contents
家業を法人化した際、先代が株式払込金を支出した場合において、長男・長女を実質的株主として株式を取得させるため、その株式払込義務を代わって履行したものであるとして、長男・長女の株主権を認めた事例
札幌地方裁判所平成9年11月6日判決
[解 説]経営にタッチしていなかった少数株主側を代理 詳細
閉鎖的な同族会社では、個々の家族構成間の利害関係を背景として、誰が株主なのか争いとなる場合があります。本判決は、先代が資金を出したものであるにもかかわらず、当方の主張を認め、長男の株主権を認めた事例です。
少数株主であり、経営者にタッチしていなかったとしても、活路を見出すことをことを目論んで、成功した事案です。
株式と名義というテーマでは、当時、株式譲渡、名義書換に係る事例に関する裁例は少なくありませんでした。
しかし、株式を原始的に取得した者について端的に判断した裁判例で公表されているものは、ほとんど見当たりませんでした。本判決を登載した判例誌でも、「本件は、株式払込金の負担金ではないという形式だけで事柄を決することなく……実質を重視してきめ細かな判断を示し」ており「事例的意義を有するものとして、実務上参考」になるとし解説されています。
この判例誌では、「本件の特色としては、株式払込金の負担者が長男・長女を実質的株主として株式を取得させるため株式払込義務を代行したとする事実認定にある」とコメントされているが、もとより、このような事実認定こそ、訴訟代理人として目指した点にほかならず、そのため攻撃防御は、多大な労力を要するものでした。
牛島信弁護士の小説『少数株主』(2017 幻冬舎)でも取り上げられていましたが、宝の持ち腐れになっている少数株主の潜在的な権利の価値どのようにして現実のものにするかが、大きなテーマとなってきています。
当事務所では、経営者にタッチしていな少数株主であっても、「株主」である以上、「泣き寝入り」することなく、その正当な権利に応じた、処遇を受けるお手伝いをしています。
・会社の代表者の死亡による逸失利益について現実の報酬を基礎として算定された事例
札幌地方裁判所平成9年1月10日判決
[解 説]交通事故被害者である会社代表者(死亡)の遺族を代理 詳細
保険会社が最終的に提示した示談額は、6000万円弱でしたが、裁判を起こした結果、9000万円を超える手取額となった事例です。
会社役員の逸失利益は、その算定の基礎収入から利益配当部分を控除すべきであるとする裁判例が少なくありませんが、判決は、現実の報酬額を基礎として算定された珍しい例です。
大量の同種事案を扱う交通損害賠償訴訟においては、自ずと類型的処理のルールが形成され、個別事案に、疑いもなく適用されることになります。
本件の争点についても、この判決を登載した判例誌が解説するとおり、「会社役員の逸失利益は、基本的には一般の給与所得者の場合と同様、現実の給与ないし役員報酬を基準として算定されるが、小規模会社の場合には、役員の報酬の中に実質的に利益配当部分が含まれることがあるところから、逸失利益の算定の基礎収入からその分を控除すべきであるとする裁判例が少なくない」もので、そのような実務的取扱いがほぼ確立されていたようです。
そして、労務対価部分を確定するのは実際上著しく困難であることから、機械的に一定額が控除されるのが通例であり、当初は、本件の担当裁判官も、一定割合控除するのが当然というスタンスでした。
しかし、担当裁判官に対し、この実務的取扱いが生まれた背景(過大な節税対策の影響の回避)からすると、機械的に一定割合控除というのはその趣旨に適合しないことを説き起こすとともに、中小企業社長の年収総額の実態を理解してもらうことに注力したところ、裁判所の判断は、被害者の現実の収入全てを逸失利益算定の基礎と判断するものとなりました。
詳しい事例解説は、「保険会社の最終示談提示額と獲得金額の対比表」を掲載したこちらでどうぞ
・交通事故で死亡した57歳の小規模な会社代表者の逸失利益について、役員報酬年額840万円全額を労務対価部分とし、70歳まで稼働可能として算出された事例
札幌地方裁判所平成21年2月26日判決
[解説]交通事故被害者である会社代表者(死亡)の遺族を代理 詳細
保険会社の最終提示額が約2870万円余りであった会社の代表者の死亡事故について、裁判を起こした結果、4590万円余りの手取額となりました。
前記事例と同種事案であり、10年程後に担当して、同様の訴訟活動をした事件でした。本判決を登載した判例誌では、「裁判例では、…役員報酬の50%ないし90%とするなど一定の割合としたものが比較的多いが…。(中略)。本判決は、…と認めて逸失利益を算定したものであり、実務の一般的傾向より多くの利益を認めた点に特色があるので、実務上の参考として紹介する」と述べられています。
前記判決を登載した判例誌では、「本判決は、二つの会社の代表取締役を兼任する者の逸失利益について、現実の報酬額を基礎として算定した事例であり、今後の同種事案の処理上参考になろう」とコメントされていましたが、結局のところ、同種事案の裁判例の傾向は、当時と変わっていなかったようです。
担当弁護士としては、改めて、個々の案件毎に、個別具体的に積極的で適切な対応を惜しまないことの重要性・有効性を感じざるを得ない事件となりました。
詳しい事例解説は、「保険会社の最終示談提示額と獲得金額の対比表」を掲載したこちらでどうぞ
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「大型飲食店ビル第5、第6小笠原ビルのテナント賃料をめぐって延々と係争騒ぎ!札幌、東京の弁護士携え、双方の主張真っ向から対立!」(見出し)
((株)南北海道総研「NEW現代函館」1995.1)
[解説]ビルオーナへ融資した申立人(貸金業者)を代理
月額合計約1000万円のテナント賃料をめぐり、当時ほとんど利用されていなかった強制執行手続ですが、ビルの各テナントの毎月の賃料を丸ごと管理におくことができる「強制管理」を申立て、ビルを占有していた不動産業者らと攻防し、貸金を回収しました。
札幌市議がパチンコ店の出店工作をした旨の新聞記事について、名誉毀損による損害賠償として200万円を認容した事例
札幌地方裁判所平成11年3月1日判決
・「札幌市議菅井氏北海道新聞を名誉毀損で訴える」(ニューステロップ)
(NHKネットワークニュース平成8年7月8日放映、その他日刊紙)
・「前田尚一弁護士が道新記者を一喝 記者会見で「道新は書かなくてもいい」」(見出し)
(人事エクスプレス平成8年7月15日)
・「札幌市議の名誉毀損訴訟道新敗訴の判決」(見出し)
(読売新聞平成11年3月2日朝刊その他の日刊紙)
・「パチンコ疑惑報道”忍従二年半札幌市議菅井盈が道新に全面勝訴」(見出し)
(財界さっぽろ平成11年4月号)
[解説]市議会議員を代理 詳細
名誉毀損に対する慰謝料100万円というのが裁判例の相場であるといわれ、著しく低額であった時代に、本判決は、200万円を認容した。
「ラージコアレス 特許係争が円満解決」(見出し)
(「紙業日日新聞」1996.4.12)
[解説]製造販売業者を代理
芯なしトイレットペーパーについて、他の製造・販売メーカに対し、特許抵触の警告を行った結果、クロスライセンス契約を結ぶことによって円満解決が図られた。
「ナラサキ石油と札通石油合併 価格競争に対応 道内小売り再編へ一石 経営効率化で生き残り」(見出し)
(北海道新聞平成11年1月6日朝刊、日本経済新聞2月6日)
[解説]存続会社側の法務を担当
価格競争を背景とした業界再編において、合併に関連する法務問題に対処した事案です。
施設入所者に対する虐待行為が行われている旨の記事が新聞に掲載されたことに関し、複数の目撃供述等が存在することを認識していたものの、他の事情から虐待行為はなかったとして、同施設を設置経営する法人が新聞への情報提供者である職員らに対してした損害賠償請求訴訟の提起が違法な行為とはいえないとされた事例
最高裁判所平成21年10月23日第二小法廷判決
「判例時報」2063号6頁
・「特養ホーム内部告発訴訟 高裁判決を破棄」(見出し)
(北海道新聞平成21年10月23日夕刊その他の日刊紙、TVニュース)
[解説]社会福祉法人・特養ホームを代理 詳細
原審(札幌高裁)判決の判断は、裁判制度の長年の歩みの中で形成された、制殿原則として正当な行為である訴えの提起を敢えて不法行為を構成するかどうかを判断するにあたっては慎重な配慮をしなければならないという最高裁の考え方を無視するものであることに加え、最後の救済の砦でもある訴訟の現場における、裁判所、裁判官の在り方にも大きな問題があるものでした。訴訟代理人としても、【上告受理申立理由】で、この点を、形式的・実質的両面から徹底的に争いの対象としました。
「判例時報」、「判例タイムズ」等の判例誌には、登載した判決ごとに解説があり、その執筆は最高裁調査官等の裁判官であるようで、判決の内容の当否に及ばないような中立的なコメントをするのが通例です。しかし、本件については、いずれの登載誌も、「原審の判断は、提訴者に高度の調査、検討義務を課すものであって、裁判制度の自由な利用の確保という観点からは、疑問があるものと言わざるを得ない。」と断言した上、「本判決は、以上のように事例判決ではあるが、訴えの提起が不法行為に当たらないとされた事例を提供するものであって、実務の参考になるものと思われる。」と述べています。
より詳しい内容は、「お客さまの声」も掲載したこちらをご覧ください。
北海道の住民である原告らが、北海道A支庁における農業土木工事において談合が行われていたとして、同工事の受注をした2会社と同工事の請負契約締結当時の北海道知事、北海道A支庁長及び北海道農政部長に対し、地方自治法(平成14年法律第4号による改正前のもの)242条の2第1項4号に基づき、北海道(参加人)に代位して、損害の賠償を求めた事例
札幌地方裁判所平成19年1月19日判決
・「堀知事ら被告の農業土木談合訴訟 札幌地裁で初弁論」(見出し)
(Yahoo!ニュース平成13年3月2日、日刊紙、TVニュース)
・「道発注工事官製談合 業者に賠償命令」(見出し)
(日本経済新聞平成19年1月20日ほか日刊紙、TVニュース)
[解説]建設業者を代理 詳細
原告は、談合による道の損害額を「工事予定価格の総額の10%に当たる7850万円」と主張しましたが、裁判所は、当方の主張・立証を容れて、判決では、「総合的に考慮して5%が相当」との判断を示しました。
数字だけみると、原告の主張を支える裁判例も多く、また、「建設工事一般についての民事訴訟法248条を適用した算定損害額について、固めに評価した区切りの良い数値として請負契約金額の10%が基準になっていると考えられる」(村上政博)、「一般に、談合がなければ、これがあった場合の価格の20ないし30%程度は低下する」(泉水文雄)、「いつかの自治体における入札制度改革をとおして競争が回復した結果、平均落札率が70%ないし85%になっているとする報告(日本弁護士連合会)などの学者論文・報告等も見受けられました。
そこで、当方は、依頼者と弁護士の協働作業を徹底し、入札状況の実態を調査・分析し、依頼者の担当者が作成した資料を用意するとともに、弁護士の構成した法律論を展開し、「準備書面」(主張)と「書証」(立証)として提出し、裁判所の説得を試みました。
その結果、裁判所は、当方の主張・立証を容れ、判決は「総合的に考慮して5%が相当」としたものです。
商品取引業者の外務員らの商品先物取引の勧誘に適合性原則の違反があったとして商品取引業者の不法行為責任を認めたが、5割の過失相殺を認めた事例
札幌地方裁判所平成20年2月26日判決
[解説]商品先物取引業者を代理
商品先物取引の勧誘の適否が問題となったごくありふれた事案のように見える事案です。
しかし、顧客は、実際に保有する金融資産が900万円程度であるのに、自らわざわざ投資可能金額を2000万円と過大な設定を申告したため、実際保有する資産に比して取引規模が拡大したことにより、損害の拡大を招いたものであること、顧客の年齢及び経歴、商品取引業者の外務員の説明内容及び方法からみて、顧客は、少なくとも商品先物取引の仕組みや危険性は理解していたはずなのに、投機に対する安易な興味から、外務員の取引の勧誘に応じて先物取引を始め、拡大して損害を招いていることなどの落ち度があったことを認めるなどして、裁判所は、5割に及ぶ過失相殺をする判断をしました。
公益法人から除名処分を受けた会員の仮の地位を定める仮処分申立てについて、被保全権利の疎明がないとして却下された事例
札幌地方裁判所平成11年1月26日決定
[解説]公益法人を代理 詳細
公益法人での除名処分という「類似先例のない珍しいケースについて、今後の同種事案の処理上参考になる」として紹介されました。
仮換地指定がなされた従前地について、施行者の管理権に基づく妨害排除請求を認めた事例
札幌地方裁判所平成9年6月26日判決、札幌高等裁判所平成9年10月31日判決
「組合区画整理」59号32頁
[解説]土地区画整理組合を代理 詳細
土地区画整理事業の中で、別の土地に移転できる状態になったにもかかわらず、土地を占有し続ける旧所有者に対する民事的手続による明渡が認められた事例です。
各判決を登載した上記専門雑誌(解説:建設省都市局区画整理課)では、「本件は、施行者が、民事的手続により、仮換地指定がなされた従前地についてその占有者に対し明渡しを求めた事例として参考になるものと思われます。」と紹介されました。
ところで、この事案のような場面、つまり、土地区画整理法100条の2の規定により従前の宅地を管理する施行者と同宅地を不法占拠する明渡請求については、施行者が不法占拠者に明渡を求めることができるとする最高裁判決があります(最高裁昭和58年10月28日第二小法廷判決・最高裁判所裁判集民事140号249頁、判時1095号93頁、判タ512号101頁、金判688号23頁、金法1052号38頁)。
ところが、この事件に続いて顧問先土地区画整理組合に依頼された事案は、仮換地の指定を受けた従前地である係争地のうち、一部は道路予定地とされていましたが、それ以外の部分は別の従前地の仮換地として指定を受けていたものの(「裏指定」)、使用収益開始日が定められていないというものでした(「追而指定」)。
こちらの事案は、当事者の利害関係は同一でしたが、最高裁判例の事実関係にピッタリではなかったので、担当裁判官は、この最高裁判決に従った判断をすることに躊躇するのでした。
しかも、文献を探してみても、土地区画整理などの分野で著名な弁護士の論稿を見付けたものの、かえって当方に不利なものでした。
そして、実態と道理を法律論として構成し直し、説得を試みても、担当裁判官の態度は変わらないままでした。
ところが、建設省都市局区画整理課が、当方と同一の結論を解説している解説を見付けることができたのです。これを提出するや担当裁判官の態度も一気に変わり、こちらも、全面勝訴の判決を獲得することができました(札幌地裁平成9年(ワ)第1672号同10年4月28日・公刊物未登載) 。裁判が、担当裁判官個人の判断によって決まるということは言うまでもないことですが、本件では、地道で時間と労力を要するものの、その心証を変える方策が確認できる経験になったと思います。
○「「円山葬儀場」訴訟外で決着 反対派が業者へ建設断念和解金 9800万円」(見出し)
(読売新聞平成7年2月16日朝刊その他の日刊紙、TVニュース)
・「札幌・円山葬儀場問題 住民監査請求」(見出し)
(NHK北海道ニュース平成6年8月23日放映、日刊紙)
[解説]宗教法人をメンバーとする住民側を代理 詳細
宗教法人に隣接する市有地に民間の葬儀場建設されることについて、地元住民や隣接する宗教法人が反対し、住民運動に進展。市交通局の動きに不明朗な点が見られ、市民側は、対抗手段として住民監査請求を申立て、その後、住民訴訟に発展。相次ぐ訴訟合戦に発展する中、訴訟外の勝訴的和解で決着した。
その間、「遊休地活用何のため? 札幌市交通局 買った土地も賃貸」「行政が住民頭ごし 札幌・円山の葬儀場承諾 半数が総会開かず」「トップダウン 「対話の行政」に逆行 どう吸収する地域の声」などの見出しの新聞報道などがされていた。
○「道内唯一の演劇専用劇場 競売、年内閉鎖へ」
(北海道新聞平成12年8月1日朝刊)
・「札幌の演劇ホール『マリアテアトロ』 25日の「舞台」最後に15年の歴史の幕」
(フロンティアタイムス平成12年12月20日)
[解説]新オーナーである宗教法人を代理
礼拝堂などの教会として利用するために不動産競売により取得した物件について、従来からの賃借人らとの間の問題を解決。
企業法務・顧問弁護士の分野に限らず、判例集・判例誌に登載されたり、新聞等マスコミで報道された多数の「実例・実績」や「お客さまの声」がございます。ぜひ、こちらもご覧ください。
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