秘密保持契約書の締結で「ジャブ」を打つ重要性
企業間での契約締結では、特に秘密保持契約書(NDA)のような書面が大きな役割を果たします。これは情報漏洩を防ぐための基本的なツールですが、その取り扱い方次第で企業間の力関係が大きく変わる場合があります。私は、秘密保持契約書のチェックを依頼された際、単に契約書の内容を確認するだけではなく、依頼者の立場を強化するための「ジャブ」を打つようアドバイスしています。
たとえば、ある中小企業の顧問先が、大手企業とのジョイントベンチャーに関する秘密保持契約書を提示されました。その内容は、一方的に顧問先が情報を守る義務を負うものでした。私は、この文面を双方向で対等なものに変更するよう提案しました。「甲は乙に対し」という表現を「甲及び乙は相手方に対し」に改めることで、交渉のスタート地点から立場を平等にしたのです。このような小さな「ジャブ」は、相手企業に依頼者の主張を認識させ、交渉の場で優位に立つ助けとなります。
このケースでは、提案どおり対応した結果、顧問先の立場が自然に強化されました。契約書の文言以上に、その前提となる、交渉のプロセス全体で力関係を意識することが重要です。
紛争の解決と予防における弁護士の役割
企業経営において、紛争は避けられない現実です。訴訟が発生した場合には、負けない戦略を立てることが重要です。また、訴訟を未然に防ぐための予防策の整備も、同じくらい重要です。
紛争解決においてまず大切なのは、経営者が自分の置かれた状況を正確に理解し、適切な解決策を追求することです。しかし、時には「早期解決」という甘い言葉に流されて、拙速に妥協してしまうケースが見受けられます。このような対応は、将来のトラブルを生む原因になることが少なくありません。一方で、経営者が「徹底的に闘う」と決めた場合でも、それに寄り添わない弁護士では効果的な結果は得られません。
私は、弁護士として「依頼者にとっての勝利とは何か」を常に考えます。紛争解決のモデルは「訴訟」にあり、実践的な訴訟経験が弁護士の基本的な能力を支えるものだと考えています。このスキルとマインドは、訴訟のみならず、訴訟外での交渉や予防策の構築にも欠かせません。最終的に裁判所に持ち込まれる可能性を視野に入れておくことで、企業のリスクを最大限に低減することができます。
弁護士選びのポイント
紛争解決のために弁護士を選ぶ際、相性や実績が重要です。実際に会ってみて、コミュニケーションが円滑に取れるかどうかを確かめることをお勧めします。私は、これまでに30年以上の経験と実績を持ち、常に30社以上の企業の顧問弁護士として活動してきました。依頼者の企業の実情、経営者の志向やキャラクターを理解し、それに即した解決策を提供することを信条としています。
秘密保持契約書の締結から企業間紛争の予防・解決まで、企業の経営を法的に支えるために最善を尽くします。お気軽にご相談ください。
代表弁護士 前田 尚一(まえだ しょういち)
北海道岩見沢市出身。北海道札幌北高等学校・北海道大学法学部卒。
私は、さまざまな訴訟に取り組むとともに、顧問弁護士としては、直接自分自身で常時30社を超える企業を担当しながら、30年を超える弁護士経験と実績を積んできました。
この経験と実績に裏付けられた強みを活かし、依頼先企業の実態や実情に加え、企業独自の志向、そして経営者のキャラクターやパーソナリティーも踏まえた紛争の予防と解決に取り組んでいます。