特許権,実用新案権,育成者権,意匠権,著作権,商標権,パブリシティー権等を包括する知的財産権は,事業経営上,重要な役割を担う権利とされ,知財戦略が語られます。もっとも,政府が国家戦略として「知財立国」を打ち出したのは平成14(2002)年,同年,「知的財産基本法」が制定され,知的財産高等裁判所が設置されたのが平成17(2005)年のことであり,東京地裁で200億円の損害賠償が認められた「青色LED訴訟」が提起されたのが平成13(2001)年で,東京高裁で平成17(2005)年のことでした。
当事務所では,知財戦略が一般的ではなかった時代から,戦略的視点から知的財産権の紛争対応を取り扱ってきました。
例えば,「紙業日日新聞」1996.4.12で報道された次の事件があります。
「ラージコアレス 特許係争が円満解決」(見出し)
芯なしトイレットペーパーについて、製造販売業者を代理した案件に,平成7年(1995年)11月30日付け日経流通新聞で警告する方法を用いるなどして特許係争を解決した案件です。
製造・販売メーカに対し、特許抵触の警告を行った結果、クロスライセンス契約を結ぶことによって円満解決が図られました。
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知的財産権のうち,特許権,実用新案権,育成者権等の紛争・リスクは,業種・業態の特殊性により限定されますが,商標権に係る「表示に関する紛争」や意匠権に係る「商品形態に関する紛争」は,企業一般が,事業活動の上で,日常的に直面する場面が前提となります(商標法,意匠法,不正競争防止法,著作権法,民法)。
中小企業一般においても,特に商標権等については,第三者の権利・法的利益を侵害することにより生じるリスクを回避することはもちろん,知的財産権により自社の製品の付加価値を拡大するための差別化を図れるよう知的財産権を戦略的に活用することが求められます。
当事務所では,中小企業の知的財産権紛争について,地元札幌地裁はもちろん,東京地裁知的財産権部において,民事訴訟の構造を活用した戦略的観点からの解決を図った実例があります。