不動産は、個人生活における基本条件として、企業活動においては資本として、欠くことができないものである上、資産価値が高い財産です。そのため、不動産取引を巡るトラブル・紛争は少なくなく、その内容は、多種多様で、多岐に渡ります。
そして、トラブル・紛争の予防・解決に当たっては、法令や判例・裁判例等についての法的知識とその実践的な活用スキルが必要であることもちろん、不動産取引の実情の理解が不可欠となります。しかも、不動産業者の顧問弁護士をしながら、相談を受けたり、紛争に遭遇すると、不動産取引の実情には、一般では知られていないこともままあるというのが実情です。
なお、不動産は、不動産業者、管理業者にとって、正に「金のなる木」ですが、特有の問題が多々あり、別稿(「不動産業者」)でご説明することにいたします。
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不動産売買は、一定の期間を要し、契約交渉、契約の締結、履行といったプロセスを経てようやく完了します。
契約交渉に入ったものの、契約締結に至らず、一方に損害が発生する場合があります。
また、売買契約の締結に至っても、代金支払・引渡などがされる前に、手付流し・手付倍返しを根拠に解除を主張されるようなこともあります。
そして、売買契約の履行期になっても、売買代金が支払われなかったり、引渡しや所有権移転がされず、紛争となることがあります。引渡されても、不完全な履行である場合があり、解除や損害賠償の争いとなる場合もあります。
不動産売買のプロセスでは、多様なトラブル・紛争があり、それぞれに用意された法的ルールを基に、事案に応じた対応をしていく必要がありますし、トラブル・紛争の実情を理解した上で、予防策を講じておく必要があります。
不動産賃貸借について、まず、賃貸人となる場合を考えて見ます。
一軒家や区分所有の家主さんも含め、賃貸経営・管理では、多数の賃借人を継続的に相手にしており、常に滞納問題がつきまといます。
賃貸借契約書のつくり方や法的手段の取り方のノウハウを学ぶセミナーに参加する勉強熱心なオーナーさんもおられますが、あまり役立っていないようです。プロである不動産業者でさえ、滞納家賃の回収に悩むのですから、当然のことかも知れません。
家主さんとしては、契約書をきちんと作っておけば完璧と思いたくなるのも理解できますが、契約書でがんじがらめにしても、資力のない店子からは回収できないのが現実です。
優秀な不動産業者であれば、入居審査する上で経験に裏付けられた独自の視点や基準があるようですが、オーナー自身が判断することは難しいでしょう。
それよりも家賃滞納が起きた場合、いかに早く回収に動くかが重要です。情に流されたり、先送りにしたりしないよう、きちんと対処する仕組みをつくっておくことが不可欠です。
入居者から「必ず払う」と言われると、つい、もう少し様子を見ようと思ってしまうのが人情です。
しかし、「住」は衣・食・住という社会生活上最低限確保すべき住まいであり、本来、家賃は最優先に支払うべきものです。それなのに家賃を3カ月も滞納しているような場合、今後の家賃をきちんと支払いながら、滞納分も支払うのは難しいのです。
結局、判断のポイントは。賃借人に支払い能力があるかどうかに尽きます。
滞納額が増えれば、支払いが困難になるばかりか、退去させることも難しくなります。敷金や前家賃を用意できないほど困窮すれば、引っ越しもままならず居座り続けます。
したがって、どのタイミングで明渡しを求めるかも重要です。家賃滞納の放置は、別の優良な賃借人に貸せば得られたはずの収入までも逃すことにつながります。
その場合、つい強行策に出るべきかなどと思いがちですが、家賃催促のためにとる鍵の交換や貼り紙などの一定の行為は違法です。きちんと法律を踏まえたうえでの断固とした対応が必要です。事例に応じて個別に吟味する必要があります。
まず回収の可否について検討し、明渡しを求めるべきかも検討します。
弁護士費用が心配となりますが、費用は事務所によって異なります。
当事務所では、家賃の回収のみの場合であれば、着手金を抑えて実際の回収額に応じた成功報酬を得ることを基本としています。
ここで、ご依頼されたお客さまの声の一部を紹介いたします。
こんにちは。
あの節は本当にお世話になり、ありがとうございました。前田先生のお陰で解決でき、感謝しております。
先生のお手紙にもありましたように、何度もあきらめようと思った事もありました。ああ、この人は払わないな。(気づくのが遅いのですが)と思い、金額も大きいので思い切って無料相談にも行きましたが解決には至らず先生にお願いした次第です。
あきらめず、相談して良かったなと思います。
そして、前田先生という良い方に巡り会えて幸いでした。.
今後、同じ事を繰り返さないよう気をつけていきます。簡単ですが感想とさせて頂きます。.
ありがとうございました。
私の案件は、マンション借家人が10年を経て、家賃不払不退去を申し出るというものでした。10年の間には何回かの遅払い等もあり、その都度私としては、心良く延滞を許し、良い大屋でいる積りが、申立て理由の一つとして、大屋としてのあり得ない管理上の怠慢を挙げられ怒髪天を衝く状態でした。
御依頼してからも、事態の進展が遅く感じられ、強硬策を御願いしたこともありましたが、その都度先生より諌められ、今回の解決に至ったことを深く感謝しております。
今回のような案件は、こちらから、退去金を支払って解決することも多いと聞いており、相手方もそれを狙ってる節もありました。私としては、自分の名誉のために、強制代執行も辞さない覚悟でしたが、私に対しても相手方に対しても先生の緩急自在の対応により、相手方より私に対する謝罪を引き出し、又、金銭的な損失も防げることが出来ました。
当初私は、在住の千葉から札幌の相手方に赴き面罵してやりたいような状態でしたが、先生に御依頼したことで札幌行きも2回で済み、解決したことを幸運であったと思うとともに感謝しております。
以上は、家賃滞納との関係での案件ですが、「立退料」に関連した事案について、顧問先であるお客さまの声を、次にご紹介いたします。
なお、「再開発」については、このページの後半にて、私が解散まで顧問弁護士を務めた土地区画整理組合の事例をご紹介いたします。
所有するビルで老朽化を理由に明渡を求めたところ、立退料として、当初要求された額が2000万円であったが、交渉の結果、1000万円に減額できた事例
前田先生にお世話になったのは、当社グループ会社で所有・管理しておりました、札幌市中央区南×条西×丁目所在の◎◎◎ビルの入居者とのトラブルが原因でした。
当時◎◎◎ビルは、老朽化が激しく、雨漏り、給水管の破裂などの被害で、入居者の方に迷惑をかけたりしたので、安全な所への転居をお願いしていました。しかし、入居者とは、立退き料、営業権等の問題で折り合いがつかず、困っておりましたところ、前田先生に相談すると、的確なアドバイス、助言、ひいては相手方の心理状態なども考慮していただき、衣料店舗との立退き料が当初2000万円要求されたのが、1000万円という当方の依頼どおり、満足する形で問題が解決いたしました。
また、このビルを解体して、駐車場の貸していた時に、駐車場の土地賃貸借期間が残っているのに、土地買主の要求により、早急に土地を明け渡さなければならず、その時も、明け渡し金額の値段交渉についても、的確なアドバイスをいただき、スムーズに問題が解決できたのも、前田先生に感謝致したいと思います。
これからも、世の中のあらゆる問題解決の為に頑張って下さい。前田法律事務所の益々のご発展を祈念申し上げます。
上記は、当事務所で担当した「立退料」に関連した事案のうち、賃貸人・家主側で対応した場合ですが、次に、賃借人・店子側で対応した場合のお客様の声をご紹介いたします。
なお、建物の「老朽化」を理由に解約を申し入れられ、立退料の増額を求めるような事案については、こちらで詳しく説明しておりますので、ご覧ください。
複数の販売店が営業する構造の市場・ストアー店舗建物で食品販売業を営んでいたところ、老朽化を理由に明渡を求められ、立退料として、当初提示された額が90万円余りであったが、交渉の結果、1700万円に増額させた事例
前田尚一先生へ
お手紙読ませてもらいました。
昨年4月から今年5月まで1年2ヶ月になりました。
私はなにも出来ず、ただ先生にお願いして来ました。
私は学歴もない83歳の人間です。
ほんとうに先生のおかげで解決した事、喜んで居ます。
先生もくれぐれ体に気を付けて下さい。
事務所の皆さまにも宜しくお伝え下さい。
私もこれからがんばって行きたいと思います。
ほんとうにありがとうございました。
不動産は、企業活動においては資本として欠くことができないものであり、企業は、、オフィス、工場、倉庫、駐車場とさまざまな不動産を賃借しています。
ここでは、店舗を賃借する場合を考えて見ます。
店舗の場合、業種によっては、立地こそが全てという場合もあります。
そうであるのに、店舗を借りる側(たなご店子)は、家賃・敷金・保証金等の金額であるとか、以前の店子が残していった造作、什器備品ばかりに目を奪われことも多いでしょう。例えば、ラーメン屋さんを開業する場合、前の店子が造作したカウンターがある店舗を居抜きで借りることができると、初期設備費用は激減する訳です。
居抜きばかりに目が行き、手頃であれば、すぐ飛びついてしまう。貸す側(大家)は、自分に有利な内容の契約書を用意して待っているのに、慣れない店子は、ろくに契約書の内容を見ないで署名(記名)捺印してしまう、ということもありがちでしょう。
もっとも、少々不利な条件でも、立地条件も良く、居抜きのままで店舗設計がよくできている、売上げが見込まれ、他の経費は抑えることができるので、ぜひ借りたい、というのであれば、最初は、集客するための有効な看板をつけるのに大家にクレイムをつけられたり、数年後に利益が上がり、より集客を良くするための内装・造作を施す場合に大家にクレイムをつけられないようにするには、どのような対処をしておくか考える。そして、後は言いなりになっても、何よりもまず借りてしまう、というのが得策という場合もあるかもしれません。
そして、毎月きちんと賃料を支払う実績を作る。優良な店子となれば、大家の信頼も次第に厚くなる。そして、軌道に乗り予想どおりの利益を生むようになれば、その分経費も自由になる。
大家と対等な立場になった、その時である。今度は、タイミングを狙って、好条件を提示し大家を引きつけながら、賃貸期間を長くするなど当方にとって有利な条件を受け容れてもらう。
以上は、架空の例で、万事がこのようにうまく行くとは限りませんが、自分のビジネスを上手く進める上では、いろいろ考えて見る必要あるはずです
不動産再開発には、都市再開発、マンション建替えなどさまざまな場面がありますが、ここでは、私が解散まで顧問弁護士を務めた土地区画整理組合の事例をご紹介いたします。
仮換地指定がなされた従前地について、施行者の管理権に基づく妨害排除請求を認めた事例(札幌地方裁判所平成9年6月26日判決、札幌高等裁判所平成9年10月31日判決)として、専門誌である「組合区画整理」59号32頁で紹介された事例です。
土地区画整理事業の中で、別の土地に移転できる状態になったにもかかわらず、土地を占有し続ける旧所有者に対する民事的手続による明渡が認められた事例です。
各判決を登載した上記専門雑誌(解説:建設省都市局区画整理課)では、「本件は、施行者が、民事的手続により、仮換地指定がなされた従前地についてその占有者に対し明渡しを求めた事例として参考になるものと思われます。」と紹介されました。
ところで、この事案のような場面、つまり、土地区画整理法100条の2の規定により従前の宅地を管理する施行者と同宅地を不法占拠する明渡請求については、施行者が不法占拠者に明渡を求めることができるとする最高裁判決があります(最高裁昭和58年10月28日第二小法廷判決)。
ところが、この事件に続いて顧問先土地区画整理組合に依頼された事案は、仮換地の指定を受けた従前地である係争地のうち、一部は道路予定地とされていましたが、それ以外の部分は別の従前地の仮換地として指定を受けていたものの(「裏指定」)、使用収益開始日が定められていないというものでした(「追而指定」)。
こちらの事案は、最高裁判例ピッタシの事実関係である事案ではないので、担当裁判官は、この最高裁判決に従った判断をすることに躊躇するのでした。
しかも、文献を探してみても、土地区画整理などの分野で著名な弁護士の論稿を見付けたものの、かえって当方に不利なものでした。
そして、実態と道理を法律論として構成し直し、説得を試みても、担当裁判官の態度は変わらないままでした。
ところが、建設省都市局区画整理課が、当方と同一の結論を解説している解説を見付けることができたのです。これを提出するや担当裁判官の態度も一機に変わり、こちらも、全面勝訴の判決を獲得することができました(札幌地裁平成9年(ワ)第1672号同10年4月28日・公刊物未登載)。裁判が、担当裁判官個人の判断によって決まるということは言うまでもないことですが、本件は、地道で時間と労力を要するものの、その心証を変える方策があることを明らかにした事例でした。
最後に、この土地区画整理組合の役員からいただいたお客さまの声をご紹介いたします。
無駄を省いた的確な判断と行動、明確なアドバイスに、私が理事長に成ってからの土地区画整理組合は、幾度も危機を乗り越える事が出来ました。心から感謝して居ります。
また、私が紹介させて頂いた数人の方々も、案件と法のかかわりを分かりやすく説明して頂き、安心してお任せしたと御礼の言葉を頂きました。
今後とも社会正義の為、一層の御奮励をお祈り申し上げます。組合解散後、直ちにお礼に伺うべきところ雑事に追われ、失礼して居りました。お許し下さい。此の度は本当に有難うございました。
最後になりましたが、くれぐれも御身体大切になさって下さい。
私はまったく素人でしたが、知人からの要請で土地区画整理組合の役員に選出されましたが、この時、組合の専務理事(組合でただ1人の常勤者)に選出され、実務の中心となっていたA氏が就任一年半後にB建設業者との間で「贈収賄事件」(H7.6.20)が生じ、H氏に有罪判決が出されました(判決前にH氏は理事を辞任)。又、同年の4月初め頃にA氏が別なC建設業者と話し合う中で(事前に理事会への提案や承認がない中で)勝手に工事の発注を行い、同年7月上旬にB業者より、工事代金が水増しして請求された事が明らかとなり「工事代詐欺未遂事件」が発生しました。
その後も組合とA氏の間で「養豚業廃業補償費増額請求事件」(道収用委員会~最高裁まで)や、「豚舎明け渡し請求」「自宅撤去、土地明け渡し」及び同左の「強制執行請求」等、数件の裁判がそれぞれ合わせて約5年にわたり行われました。
それまで組合としては、話し合いでの解決を求め、根気よく年時をかけてきましたが、このままでは解決の目処もたたず、事業も進まず、止まることも考えられる状況となってきましたので裁判での解決を求めていかざるを得なくなりましたが、組合員や行政等から裁判にかければ判決まで多年を要するし、お金もかかるのではないかと心配や反対の意見もそれなりにありましたが、組合としては、先生との相談、話し合いの中で、解決しない話し合いをいつまで続けても意味がないし、又、ゴネ得を1人許せばそれを見て他に色々と言ってくる人が何人かは出てくるのでないか(現実にその可能性は何人か考えられました)、それであれば裁判に堂々として臨んだ方が早く解決し、又お金もかからないのでないか等、原則的な考え方が示される中で、当初は100%理解できた訳ではないが、私達の考えや気持ちにふれるものが多く、先生を信頼してお願いし、一緒に戦っていってみようという気持ちを強くしました。
幾つもの裁判を通じて理解した事は色々とありましたが、私なりに要約すると、
1 先ず先生を信頼する事、そして依頼人としての考えや気持ち(求めている事)を素直に伝える事
2 先生の、その裁判に当たっての考え方、取り組み方等を素直に受け止め、解らないところは恥ずかしがらずに聞き、ひとりよがりの判断や考え、早合点しない事
3 裁判に対する対応は、ぶれずに一貫してプロである先生に一任し、自分たちもそれに素直に対応していく事
4 周りからの色々な考えや意見については素直に受け止めるが、それらの事で先生との間で不信やぶれが生じないよう、必要に応じて先生との相談・話し合いを密にしていく事、
が、裁判に臨み、共に戦っていく上で、大事ではないかと思っています。
未経験な裁判と言う大事な問題で、根気強く何かとお話をして下さり、最後まで先にたって戦い、又、引っ張っていただき、何とか私達もついて行き、幾つも勝ち得た事は本党に有難く感謝しています。
先生の努力とご苦労はいつまでも忘れません。
私達も良い経験をさせて頂きました。